■ ピアノレッスンNews Letter募集Q&A掲示板リンク問い合わせ ■
News Letter.35...



2005. May.

音学館 Music Lesson  NEWS LETTER  Vol.35

寺子屋(4/6実施)報 告

♪おんぷであそぼう♪

 

今年の寺子屋はますますパワーアップして充実の2時間があっという間に過ぎていきました。

 導 入    自己紹介〜丸く輪になって ピアノに合わせて指導者の補助を受けながら一人ずつ自分の名前を言う。

       歩行〜ピアノにあわせて並み足→だんだん速く→だんだん遅く 他

 表 現    「さぁ、みんなで動物園にやってきました。何が出てくるかな?」と促し、ピアノの音に注意をはらわせる。

       ウサギ→ぞう→はち→ちょうちょ→ゴリラ→こびと→馬→人間

ポイント:「ちょうちょ」と一口に言っても大きなちょうちょ、小さなかわいらしいちょうちょ、バタバタと速く飛ぶちょう、優雅にのんびり飛ぶちょうと、子供達ひとりひとりの持つイメージは違います。それをどこまで上手に引き出せるかが鍵となります。大きな混乱もなく、次々と出される課題を皆自由に表現できていたようでした。

 即 興   3グループに分かれて実行されました。

1 まず指導者が即興演奏のお手本を披露しました。「これから先生が体験した海での物語をピアノで表現します。どんなことがあったのか、想像してみて下さいね。」

ポイント:当初は 起→承→転→結 の短い曲を即興で演奏する予定でしたが、小さい子供達も多く参加することから、起→転→結(起と同)という最も単純な形にしました。具体的には、静かな海の様子から一変して大嵐になり、またおだやかな海に戻る、という内容でした。非常に分かりやすくておもしろかったと思います。

2. 絵を描く。 指導者達と子供達と話し合い、舞台を決める。赤グループ山 緑グループ星  青グループ淡路島 に決定。各々好きなモチーフを大きな模造紙に描く。

ポイント:舞台が決まるとすぐに描きはじめる子、じーっくり考えてから描きはじめる子、他の子の様子を観察してから自分のモチーフを決める子、「なぜ山の中にこんなものが?!」といった完全にファンタジーの国に羽ばたいている子.子供達はそれぞれの想像の世界を旅していたようです。

3.描いた絵をそれぞれが指導者に説明して、それを短冊に切った紙に一人一枚ずつストーリーを書く。(まだ字をかけない子は指導者が書く)

ポイント:中には広大なストーリーを考えている子がいたりするが、なんとか2〜3行の説明にまとめるようにする

4.一人ずつ自分が描いた絵をもとに各グループのピアノで即興指導をする

例:「この絵はなあに?」「くまさんが木の近くでアンズを食べてるの。」「くまさんはどんな音でアンズを食べてるのかなぁ?お腹空いててガツガツ、とかむしゃむしゃ、とかぱくぱく、一人ではずかしそうにもそもそ食べてるとか?」「あのね、このくまさんは子供のくまさんなの。だから静かに食べるの。」「なるほどー!!じゃあ鍵盤のどの辺使おうか?この辺?(といって高音部の音を鳴らしてみる)この辺?(同様に中音部を)この辺?(同様に低音部を)」etc.

5. ひととおり一人ひとりがどんな演奏をするか決定した後、さっき短冊の紙に書いた各自のストーリーを並べかえる

ポイント:まとめたスト−リ−全体が必ずしも起承転結にならなくてもよい。それよりも一つ一つのモチーフに具体性があった方が、子供たちの興味をひきつけやすい。

6.いよいよ演奏  3グループ一同に一つのピアノの周りに集まり、みんなで描いた絵を囲んでストーリーを指導者が読み上げ一人ひとり即興演奏を披露する

ポイント:はずかしそうに小さな小さな音で弾く子、即興でメロディーらしいものを弾く子、「2、3音しか弾かないからね」と打ち合わせでは言っていたのにいざみんなの前に出ると、きちんと弾こうとする子,打ち合わせにはなかった奏法を突然披露し始める子etcやはり子供達はどこまでも予測のつかない天才たちなのでしょうか。

 

 

 鑑 賞 

『組曲 バイエル8番(ハ長調)』『組曲 バイエル61番(ト長調)』『組曲 バイエル80番(ニ長調)』〜いずれも連弾曲 を指導者が演奏。まず〈バイエル〉の部分を演奏→〈ねこふんじゃった(各調で)〉 を演奏する、というように分解して紹介。→あわせて弾く。「どこにバイエル、ねこふんじゃったが隠れているか、注意して聞いてね」

ポイント:そろそろ子供達もちょっと疲れた頃だと思ったので、ここでミニ発表会を入れました。「ねこふんじゃった」は昨年の寺子屋でも取り上げ好評だったので、今年も別の教材で再チャレンジすることにしました。今回は小原孝さんの「ねこふんじゃったスペシャル ヤマハ出版(別売CD)」より特に子供に馴染み深いバイエルを使っって編曲された3曲に焦点を当て、どのように子供達に紹介するか、考えてみました。音数も少なく、比較的単純な和声構造なのでそのまま演奏することもできたのですが、やはりまだ耳が未熟な子供達にいきなり聞かせたのでは「ふ〜ん」で終わってしまうので、もう一歩踏み込んで「どう聞けばいいのか」「テーマ(メロディー)を探して聞く」ことのてほどきになったのではないかと思います。

 楽 典(西洋音楽の基礎的な規則)

1. 大きな模造紙に5×5のマス目を作り、中にド〜シの音名四分休符を書き込んだものを各グループごとに用意しておく。

2. 小さい子から順番に輪投げをさせ、投げられた輪の中にある休符を使ってリーダー(各グループの最年長者)に楽譜を作らせる

3. 最後に各グループごとに作成した楽譜をピアノで再現してもらう。

ポイント:この課題はなによりリーダーさんのためにちょっと高度な内容をみんなで楽しめる企画を、という目的で考えたものです。4小節で、という指定以外は拍子調号(例:ハ長調)もリズム音高(ドだけでも低いド、高いド、まん中のドなど選択肢がいくつもある)もすべてリーダーさんにまかせて自由に楽譜を作る、というものでした。いろいろバラエティに富んだ選択で音符にしてみたけれど、ピアノで弾いてみるととても演奏しにくい曲だったり、「(ハ長調の曲だから)最後の音はドで終わった方がいいのかなぁ..」と自ら気づく子もいて、「さすが!!」と指導者を唸らせることもありました。一方、小さい子供達の集中力は時間的にそろそろ限界なので最後に遊びの要素を持ってきたのは大正解でした。やはりたくさん頭を使った後だったので、子供達は飽きることなく大喜びで輪投げを楽しんでいました。「次は○○ちゃんの番だよ」「次はラの音に投げてね」「ミとシの間だったからもう一回投げてもいいよ」と子供同士、会話のきっかけにもなっていたようです。

 今年もたくさんの参加者、そして指導者とともに有意義なひとときを過ごすことができました。御協力下さった保護者の方々に深くお礼申し上げます。

ごほうびタイム

  指導者達のコメント

 ★当日までに、ミーティングを重ねても、実際実行してみると、思うようにいかなかったり考えに考えたつもりが準備不足を痛感したりと、戸惑う場面もありました。でも、子供達を前に、動揺などみせてはいられませんからとにかく最後まで必死でした。終わってみると、全体的にはとても濃い内容で、よく子供達が最後までついてきたなと感謝達成感でいっぱいです。

 ★全体をとおして子供達が楽しい時間を過ごせたようで何よりでした。リトミックの要素を取り入れながらも、対象が初体験の子がいること、年令の幅が広いことをふまえて、学術的、専門的な(固いイメージの)音楽教育というよりは教育としての一面エンタテイメントのバランスをうまくとったこともこういった結果に繋がったのだと思います。今回ピアノに限定した即興演奏ということでしたが、できるだけ普段から練習以外でピアノにさわる時間を作ってほしい、そこまでいかなくてもピアノってこんな風にさわっていいんだ、ということを体験して知ってほしいという願いから生まれたものでした。みんなよく弾いていたと思います。それぞれの個性も出ていましたし絵を描くことによってできたイメージが音に現れていました。星を表す、川を表す、ただのドでも表現するものが意識されるとこれだけ違うのかと、改めてイメージの重要性を認識しました。

 ★即興演奏は初めての経験、といった子が多く、始め、どうしていいのかわからず、ピアノの前で固まってしまう子もいましたが、指導者が声がけしてあげると、初心者では今のところ、レッスンでは決して登場しない、グリッサンド(鍵盤の上をすべらせながら非常に速い走句を演奏する奏法)や黒鍵弾きげんこつ弾きペダルを使った表現などを使いながら、即興演奏を楽しんでいました。

 普段、楽譜通りに弾くことばかりで少々ピアノや音楽に新鮮味を感じられなくなっている子供達に(ピアノや音楽への)別のアプローチ法があることをご紹介できた企画だと思います。

 さて、最近、練習ははかどっていますか?わたし自身も子供の時にはあまり練習が好きではなかったのであまり声を大にすることはできないのですが、さて、ではいつ頃から自分の意志で練習するようになったのかというと中学生くらいからでしょうか。それまでは親がやいのやいのいうのでしぶしぶピアノに向かっていたのですが実際音楽のすばらしさなんてまだよくわかっていなかったし、「なんでこんなことしないといけないんだろう」と楽器を習わせてもらえるありがたさなんてこれっぽちも理解してはいませんでした。しかし楽器の上達にはどうしても日々の練習が欠かせません。わたしが自覚を持ちはじめたのは音楽のすばらしさをおしえてくださった恩師との出合いがあったからです。私もいつかそんな指導者になりたいものだと常々考えています。愛好者として、として、指導者として、様々な立場で音楽と取り組んでいきたいと思います。そんなことを考えていたらおもしろい随筆を見つけたので御紹介しておきます。

 

 

女の気持ち by 毎日新聞 

「育児で夢を」

 

 子供というものは、育児の過程で一度は親に夢を見させてくれる。我が家ではまずピアノを習わせたのだが、のみこみも早いしひょっとしてピアニストに、なんて思ったりしたら、バイエル90番で指がピタリと動かなくなり、いやだいやだを連発するのでやめさせてしまった。当初は、今の先生で教えきれなくなったら東京の先生の所まで通わなくちゃ、とか懐と相談していたのだけれど。まあ、ある意味では親孝行な子だ。ずいぶん後になって、息子が「僕はクラスの男子で一番ピアノがうまいんだよ」と自慢するのを聞いて、私はニンマリしたが、祖父は「この町の男の子はピアノは習わないってことか」と解説を付けた。おじいちゃんというのは冷静だなと、私は妙に感心した。息子は現在中学2年生。楽しみは月に一度東京にお出かけすること。国立演芸場で落語を聞き、ゆりかもめに乗ってお台場観光。しゃれた喫茶店でお茶を飲む。人込みで雑菌をもらうのか、翌日はなぜか熱を出すのだけれど。育児をやっている最中はとにかく大いに夢を見ましょう。小学校、中学校と上級生になっていけば、嫌でも現実が見えてきますから。なかなかどうして、出所より優秀な「出藍の誉れ」とはいきません。夢は見られる時にたっぷり見ましょう。先輩からのアドバイスですよ。

(主婦・44歳)

60歳からのピアノ」

 「可憐さが周囲を和ます」の見出しにひかれて見城美枝子さんの『わたしとおかあさん』を読ませていただくと、【乙女の祈り】と【エリーゼの為に】をピアノで弾くことが子供の頃からの夢で50代から夢を実現させた、とありました。じつは私も60歳を目前にしたある日、右手のドレミから始めたのです。娘が習い、15年程で弾かれなくなったピアノを横目で見ながら、いつか私の指で鍵盤をたたいてみたいと思い続けていたのでした。先生は娘を指導して下さった方で、小さい生徒さんとは勝手が違ったでしょうに、なかなか進歩のない私に分かりやすく、しかも辛抱強く教えて下さり、おかげでようやく一曲一曲仕上がってゆくようになりました。固くなった指は思うようには動いてはくれず、ショパンやベートーヴェンははるか雲の上だけれど、昔口ずさんだ歌や孫の歌集に載っている曲を弾き、楽しいことこの上なしです。幸い私達夫婦は息子家族と同居して、孫の成長を日々見守れるにぎやかさに恵まれていますが、時には自分だけの時間を持ちたいと思う折、ピアノは大好きな読書と並んで、別世界に旅立てる一つの手段なのです。いろんなことに興味を持ち、もうついて行けないワと音をあげずに生きてゆきたいのですが、さてどうなるでしょうか。

主婦・63歳)



Copyright © 2006-2007 Ongakukan All Rights Reserved.